カナダ在住研究者のつぶやき

バンクーバー在住の研究者が、個人的に関心の高いエネルギー・環境問題や、趣味のトレイル・食べ歩き・酒についてつぶやく予定

色んな学術・芸術分野の○○のノーベル賞を調べてみた

 

お久しぶりです。

少し忙しくなると更新をサボってしまいますね。

 

最近ふと気になったことがあって、

昨年吉野彰先生が受賞して話題になったノーベル賞。

このノーベル賞は、物理学・化学・医学生理学・文学・平和

(+経済)の学術・芸術分野で顕著な功績を残した人物に贈られます。

 

しかし、それ以外の様々な学術・芸術分野で、各分野を代表する賞があり、

よく○○分野のノーベル賞と称されますね。

 

そこで、いろんな分野における○○のノーベル賞

を調べてみました!

(日本人が取った過去があるかも含めて)

 

主な出典は英語版のWikiです。

 

 

 

Agriculture(農学)

Wolf Prize in Agriculture:発明家リカルド・ウルフによって設立されたウルフ財団が1978年に設立した賞。農学分野以外にも、芸術・化学・数学・医学・物理学部門がある。農学分野に関しては、大部分がアメリカ人が受賞しており、日本人の受賞者は未だに居ない。

World Food Prize:農学分野の中でも食糧問題に関しては、World Food Prize Foundationが1987年に設立したこの賞が有名。本賞も日本人受賞者はいない。

 

Animal conservation(動物保護)

Indianapolis Prize:Indianapolis Zooによって2006年に設立された賞で、動物保護に関する多大な貢献をした人物が二年に一度表彰される。毎回5名が最終候補者に残るが、日本人候補者はいない。

 

Anthropology(人類学)

Huxley Memorial Medal:The Royal Anthropological Institute of Great Britain and Irelandというイギリスの団体から、1900年より毎年一名が選定される。日本人受賞者は未だに居ないようです。

 

Architecture(建築)

Pritzker Architecture Prize:いわゆるプリツカー賞で、日本でも結構認知度があるかと思います。1979年より始まった賞で、日本人受賞者も多数います。丹下健三氏(1987年)、槇文彦氏(1993年)、安藤忠雄氏(1995年)、妹島和世氏、西沢立衛氏(2010年)、伊東豊雄氏(2013年)、坂茂氏(2014年)、磯崎新氏(2019年)と数年に一度は選ばれていますね。

 

Arts(芸術)

Praemium Imperiale:日本名は高松宮殿下記念世界文化賞で、日本美術協会から授与される1987年に始まった賞。「絵画」、「彫刻」、「建築」、「音楽」、「演劇・映像」の5部門で毎年表彰されます。日本人はかなり受賞者が多く、最近だと、2018年に彫刻部門で中谷芙二子氏が、2019年に演劇・映像部門で坂東玉三郎氏が受賞されています。

 

Astronomy(天文学)

Kavli Prize:Norwegian Academy of Science and Letters、the Norwegian Ministry of Education and Research、そして The Kavli Foundationから授与される賞で、2008年から二年に一度表彰される。「宇宙物理学」 、「ナノサイエンス」、「神経科学」の三部門があり、日本人では2008年に飯島澄男氏がナノサイエンス部門で受賞されています。

 

Biology(生物学)

Crafoord Prize:ノーベル賞と同じく、スウェーデン王立科学アカデミーから授与される賞で1980年に設立。「天文学」、「数学」、「地球科学」、「生物科学」+「関節炎に関する研究」のうち1部門から毎年受賞者が決められる。日本人では、岸本忠三氏、平野俊夫氏(2009年・関節炎)、太田朋子氏(2015年・生物科学)、坂口志文氏(2017年・関節炎)、真鍋淑郎氏(2018年・地球科学)が受賞しています。

 

Cognitive science(認知科学)

Rumelhart Prize:Robert J. Glushko and Pamela Samuelson Foundationから授与される賞で、2001年に設立。日本人受賞者はまだいません。

 

Computer science(コンピューターサイエンス)

Turing Award:Association for Computing Machineryから1966年より毎年、コンピューターサイエンス分野で優れた業績を残した人を表彰。賞金100万ドルと、ノーベル賞と同じ大金ですね。日本人はまだ受賞していません。

 

Criminology(犯罪学)

Stockholm Prize in Criminology:スウェーデンの法務省のもと設立された賞で、2006年より毎年表彰。多くがアメリカ人で、日本人受賞者はいません。

 

Economics(経済学)

Nobel Memorial Prize in Economic Sciences:いわゆるノーベル経済学賞と呼ばれる。スウェーデン王立科学アカデミーから授与されるものの、ノーベル財団はノーベル賞ではないと主張しているそう。1969年より授与が始まっていますが、日本人受賞者は未だにいません。

 

Education(教育学)

WISE prize:World Innovation Summit for Education (WISE)の略で、2009年に設立され、毎年6つのProjectが表彰される。日本関連のプロジェクトは未受賞。

 

Energy (エネルギー学)

ENI award:イタリアの半国有石油・ガス会社であるENI社が表彰する賞で、2008年より毎年数名が選出。日本人はまだ受賞なし。

 

Engineering(工学)

Queen Elizabeth Prize for Engineering:エリザベス女王工学賞で、2013年より隔年で画期的な技術革新を担ったエンジニアを表彰する、比較的新しい賞。第3回の2017には兵庫県立大学および静岡大学の特任教授の寺西信一氏が、デジタルカメラの撮像デバイスの主流となっている埋込フォトダイオードを発明したことで、受賞している。

 

Environmental science(環境科学)

Blue Planet Prize:旭硝子財団により1992年に創設された地球環境国際賞。地球環境問題の解決に大きく貢献した個人や組織に対して贈られる。日本人では、第一回の1992年に真鍋淑郎氏、2006年に宮脇昭氏、2009年に宇沢弘文氏、2013年に松野太郎氏が受賞している。

 

Finance(財政・財務)

International Association for Quantitative Finance:Financial engineeringの分野の発展に寄与した研究者を1993年より毎年一人称える賞。日本人の受賞者はまだいない。

 

Forestry(森林)

Marcus Wallenberg Prize:森林科学及び森林産業に対して顕著な業績を挙げた研究者を表彰する「森のノーベル賞」。1980年より表彰されており、日本人は2015年に磯貝明氏、齋藤継之氏、西山義春氏が受賞。

 

Geography(地理学)

Vautrin Lud Prize:1991年に設立された、地理学の最高の賞。日本人の受賞者はいません。 

 

Geology(地質学)

Vetlesen Prize:コロンビア大学のLamont-Doherty Earth Observatory 及び the G. Unger Vetlesen Foundationから表彰される地質学で最も名誉ある賞。大体二年に一度表彰があり、日本人受賞者はまだいない。 

 

Human rights(人権)

Martin Ennals Award for Human Rights Defenders:1993年に設立された賞で、1994年より毎年一人が選出。発展途上国の方が選出される場合が多数ですね。日本人受賞者はいません。

 

Hydrology(水文学)

International Hydrology Prize:1981年より毎年一人選出されており、日本人では1993年に菅原正巳氏、2012年に竹内 邦良氏が受賞。

 

Mathematics(数学)

Fields Medal:いわゆるフィールズ賞。「4年に一度」「40歳以下」「2名以上4名以下」という制限があり、若手研究者を奨励する目的。日本人では、小平邦彦氏(1954年)、広中平祐氏(1970年)、森重文氏(1990年)が受賞。

Abel Prize:若手研究者を対象としているフィールズ賞に対し、アーベル賞は年齢制限もなく、賞金もノーベル賞と同等。2003年より始まったが、日本人受賞者はまだいない。

 

Meteorology(気象学)

International Meteorological Organization Prize:気象学の分野の発展に寄与した人物をWorld Meteorological Organizationが1971年より毎年表彰。日本人受賞者はまだいない。

 

Nanoscience(ナノ科学)

Kavli Prize:上述の天文学と同じ賞。2008年に飯島澄男氏が受賞。 

 

Neuroscience(神経科学)

Brain Prize:Lundbeck Foundationによって2011年に設立された賞で、日本人受賞者はいまだにない。神経科学分野の最高の賞。

 

Oceanography(海洋学)

A.G. Huntsman Award for Excellence in the Marine Sciences:カナダ王立協会より毎年表彰される。1980年より毎年1名選出されるが、日本人の受賞者はいない。

 

Pharmaceutical research(医薬品研究)

Prix Galien Award:製薬分野の研究開発を促す目的で1969年に創設、日本人では1998年に杉本八郎氏が受賞。

 

Photography(写真)

Hasselblad Award:優れた写真家を毎年一名表彰する。日本人では、1987年に濱谷浩氏、2001年に杉本博司氏が、2014年に石内都氏が受賞。

 

Religion(宗教)

Templeton Prize:宗教間の対話・交流に貢献のあった存命の宗教者・思想家・運動家等に贈られる1973年に創設された賞。日本人では1979年に庭野日敬氏が受賞。

 

Robotics(ロボット工学)

Joseph F. Engelberger Robotics Award:ロボット産業の技術発展、応用、教育、リーダーシップの各部門で活躍した個人に贈られる賞。日本人受賞者も多数で、長谷川幸男氏(1977年、技術)、安藤恒男氏(1981年、教育)、牧野洋氏(1985年、技術)、稲葉 清右衛門氏(1987年、技術)、米本完二氏(1989年、教育)、加藤一郎氏(1989年、技術)、梅谷陽二氏(1991年、技術)、菊池功氏(1995年、リーダーシップ)、井上博允氏(1999年、技術)、谷江和雄氏(2001年、技術)、江尻正員(2005年、技術)、広瀬茂男氏(2009年、技術)が受賞している。

 

Social sciences/sociology(社会科学)

Holberg Prize:2004年に第一回が開催され、ノルウェー政府から授与される。社会科学分野で最も名誉ある賞。日本人の受賞者はいない。

 

Soil science(土壌科学)

Dokuchaev Award:2006年より4年に一度1名が表彰される。これまで4名が受賞したが、日本人受賞者はいない。

 

Technology(技術)

Millennium Technology Prize:2004年より二年に一度、生活を変える技術革新を起こした人物に対し、フィンランド技術賞財団から贈られる賞。日本人では、2006年に中村修二氏、2012年に山中伸弥氏が受賞。

 

 

 

以上、〇〇のノーベル賞を調べてみた、でした。

調べだすと意外とかなり多く、

意外な分野で日本人受賞者がいるのが面白いですね。

 

今回は簡単な紹介だけでしたが、

受賞した研究内容について、興味ある方は調べてみてください。

 

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