【グリーン都市・バンクーバー】2050年までに再エネ100%
少し古い話ですが、
バンクーバー市は2015年の市議会で満場一致で
2050年までに熱・電力・輸送にかかる市内エネルギーの100%を
再生可能エネルギーで賄うことを採決しました。
というのも、海に囲まれた港湾都市バンクーバーは、
海面上昇などの気候変動の影響が大きいと懸念されています。
リスクをしっかりと認識した上で、
都市自らが気候変動問題に世界のリーダーとして
積極的に取り組む姿勢を示しております。
2050年の目標達成に向けて、
The Renewable City Action Plan(RCAP)という
10年単位のロードマップを作成し、
ホームページに公開されています。
上述に通り、2050年までに市内全体のエネルギーを
再生可能エネルギーで賄い、
なおかつ2007年比で炭素排出量の80%を
削減することを目標としています。
ここでいう再生可能エネルギーとは、
太陽光、風力、水力、地熱、潮力、持続可能なバイオマス、
水熱、再生可能天然ガス(バイオメタン)といった
Naturally Replenishなエネルギーを意味します。
また、中間目標として、2030年に再生可能エネルギーを55%に高め、
上述の炭素排出量を50%削減することを設定しています。
ちなみに、2016年時点で、既にCarbon pollutionを11%削減しています!
政策を通し、建物内のエネルギー効率を向上させたり、
公共交通機関の積極的投資により、市内移動手段の50%以上を
徒歩、自転車、バス、電車に変えてきたり、
電気自動車の普及を高めたり、といった取り組みをしてきたそうです。
具体的なAction planとして、
今後10年で、77のActionが実施される予定です。
2016年の時点で、バンクーバー市のCarbon pollutionの原因は、
55%がBuilding、41%がTransportation、4%がSolid waste
となっています。
各セクションにおける取り組みについて、詳細に説明されています。
加えて、再生可能エネルギーの導入がバンクーバー市に与える影響について、
単に気候変動問題への寄与のみならず、
経済形態に及ぼすプラスの影響や、
様々なコストの削減に繋がることも
あらゆるモデル研究をベースに説明されています。
ちなみに、各セクションの具体的な取り組みについても
以下に簡単にまとめます。
Building actions:
・新築の建築物におけるエネルギー効率の向上及び、
再生可能エネルギーの利用(7 actions)
・既存の建築物におけるエネルギー効率の向上及び、
再生可能エネルギーの利用(9 actions)
・Low Carbon Neighbourhood Energy Systemの増加(7 actions)
Transportation actions:
・土地利用、建築規制政策によるコンパクトシティの開発(6 actions)
・輸送サービスの向上(4 actions)
・旅客輸送の電気化、バイオ燃料への移行(14 actions)
・カーシェアリングの普及(2 actions)
・商用車にも規制、持続可能燃料への移行(4 actions)
Waste and cross-cutting actions:
・廃棄物量の削減、及び再生可能エネルギーへの変換(4 actions)
・分野横断的な取り組み(16 actions)
例えば、アパートのエネルギー効率についても
毎年報告されており、
如何にエネルギー効率の高い設備を導入しているかがわかるので、
来た時に面白いな、と思ったのを覚えています。
世界でもいくつかの都市が、
再生エネルギー100%を目標に掲げていますが、
人口250万人を抱える、カナダ西海岸の中心都市である
バンクーバーにとって、全てのエネルギーを移行するのは
大変なチャレンジです。
しかし、口だけでなく、具体的なロードマップを示し、
世界をリードする意志を強く感じます。
今後、バンクーバーが持続可能な開発・発展の
モデルケースとなることに大いに期待します。