大気中の二酸化炭素を吸収する最新技術
温室効果ガスである二酸化炭素の排出量削減に向けて
各国が様々な取り組みを行なっています。
一方で、Direct air capture (DAC)、つまり
大気中の二酸化炭素を吸収する研究も進められています。
最近、二酸化炭素の吸収に関する記事を見かけたので、紹介します。
Direct Air Capture: The Key To Reversing Climate Change
いくつかの企業が化学薬品を用いて、大気中の二酸化炭素を吸収する
DACプラントの建設を進めている。
ちなみに吸収した二酸化炭素は、法人顧客に販売する、
もしくは地中に埋める、といった対応が考えられている。
(二酸化炭素の利用に関する記事も後日紹介したいと思います)
例えば、Global thermostat社は低コストで大気中の二酸化炭素を吸収する
技術を開発し、特許を取得している。
既に商業化されており、炭素の利用や管理の手法を地球規模で変えてしまう
ポテンシャルを秘めている。
(例えば、石油の代替資源としての二酸化炭素の利用)
大気中の二酸化炭素濃度は、現在400ppmと過去300万年で最高に達している。
この大きな責任課題を、高付加価値な商品に変える力がある。
(海水の淡水化処理・生物肥料・食料・飲料・高分子や炭素繊維の生産・合成燃料・油石油回収増進など)
マッキンゼー社の試算では、二酸化炭素のマーケットは急速に拡大し、
年間1.1兆円のペースで増える見込みだ。
GT社の技術では、大気中の二酸化炭素(濃度400ppm)だけでなく、
煙突や工場から排出されるガス(濃度5~7%以上)を吸着できる。
2019年現在、アメリカで61の特許、世界152カ国で特許を有している。
ガスの吸着および、二酸化炭素の選択的(~99%)な脱着に関する技術である。
具体的には、空気もしくはガスの混合物を、
ハニカム状の巨大な装置の中に送り込む。
この装置には吸着剤(アミンベースの化学薬品)が含まれ、
ガス中に含まれる二酸化炭素を吸着する。
さらに、廃棄物を熱源に生成した蒸気を用いて、
吸着した二酸化炭素を脱着させることで、高純度の二酸化炭素が回収できる。
純度は既に99%に達するが、この二酸化炭素は常圧で回収されるため、
高圧条件下にすることでさらに純度を高め、食料品等へも利用可能である。
さらに、このプラントは熱と送風さえ提供できればどこでも設置可能である。
従来の技術では、大気中の二酸化炭素濃度は薄すぎるため、
煙突や工場の排ガスなど、高濃度条件下でしか適用できなかった。
しかし、GTのプラントは低濃度でも吸着可能であり、将来の商業化が期待される。
他にも、去年のBBCの記事ですが、
Key 'step forward' in cutting cost of removing CO2 from air
もあります。
カナダのCarbon Engineering社が、
空気中の二酸化炭素を1トン当たり$100で回収できる、と発表している。
従来の研究では、$600かかると試算されていたが、大幅にコスト削減できた。
スケールアップに向けて取り組んでいるとのこと。
特に再生可能エネルギーから生成した水素と組み合わせることで、
液体燃料を創出することが最終目的だそうです。
まぁ本記事では触れられていませんが、
その水素の生成が難しいというか、コストの削減が大きな課題ですね。
素人の立場なので詳しいことはわかっておりませんが、
これだけ高純度の二酸化炭素をある程度の低コストで生成(精製)できれば、
様々な産業に利用できると思います。
二酸化炭素の吸着技術は大変興味深く、
可能性が大きな分野だと思いますし、
更なる飛躍に期待ですね。