本紹介(兼自分用メモ):イシューからはじめよ(安宅和人著)
最近、安宅先生の「イシューからはじめよ」という本を読みました。
ロジカルシンキング・問題解決のツール本で、以前にも読んだことがあり、研究活動にも応用可能な点が多く、久々に読んだらやっぱり面白かったので、記事にしました。2010年と約10年前に発売された本で、尚且つ有名なベストセラー本で、今更紹介するのもなんですが、自分のためのメモとして、内容をまとめます。
イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」 (日本語) 単行本(ソフトカバー) – 2010/11/24 安宅和人 (著)
著者は、解決すべきイシューを「バリューのある仕事」と呼び、イシュー度(自分の置かれた局面でこの問題に答えを出す必要性の高さ)と解の質(そのイシューに対してどこまで明確に答えを出せているかの度合い)の両者を兼ね備えたものであるべき、と述べられています。
あらゆる問題・課題解決に向けて、ただ闇雲に努力するのではなく、本当に解決するべき「バリューのある仕事」を見抜き(1章)、仮説を立て(2、3章)、分析・アウトプットし(4章)、相手に重要なメッセージを伝える(5章)、というサイクルを素早く回すことで、圧倒的生産性を得る。そのためのロジカルシンキング・問題解決ツールを各章に分けて紹介しています。
1章 イシュードリブン:
イシューを見極める:問題はまず「解く」ものと考えがちだが、まずすべきは本当に解くべき問題、すなわちイシューを見極めること。
本著の重要な部分であり、この力を高めることが、最も重要になります。
1)仮説を立てる
・「スタンスをとる」こと:出来る限り具体的に、詳細に
・「言葉」にする:イシューと仮説は紙や電子ファイルに言葉として表現する。言葉にするときに詰まる部分こそイシューとしても詰まっていない部分であり、仮説を持たずに作業を進めようとしている部分。(言葉で表現するときのポイント:主語と動詞をいれる。比較表現を入れる。)
2)良いイシューの条件に注意
・本質的な選択肢である
・深い仮説がある:深い仮説を持つための定石
・常識を否定する
・「新しい構造」で説明する:共通性、関係性、グルーピング、ルールの発見
・答えを出せる
3)イシュー特定のための情報収集
考えるための材料を入手する:時間をかけすぎずに大枠の情報を集め、対象の実態についての肌感覚を持つ
(コツ)
・一次情報に触れる:そのテーマを研究している人、手法を開発した人の話を聞く。
・基本情報をスキャンする:数字、問題意識、フレームワーク
・集めすぎない・知りすぎない
4)イシュー特定の5つのアプローチ
・変数を削る:いくつかの要素を固定し、考えるべき変数を削り、見極めのポイントを整理
・視覚化する:問題の構造を視覚化・図示化し、答えを出すべきポイントを整理
・最終形から辿る:すべての課題が解決した時を想定、現在見える姿からギャップを整理
・「So what?」を繰り返す:仮説を深める
・極端な事例を考える:極端な事例をいくつか考えることで鍵となるイシューを探る
2章 仮説ドリブン①:
イシューを分解し、ストーリーラインを組み立てる。解の質を高め、生産性を大きく向上させる作業が、「ストーリーライン」作りとそれに基づく「絵コンテ」作り。→この二つを合わせて「イシュー分析」
・イシューを分解する:
意味のある分解とは:MECE(ダブりもモレもなく、という概念)
・ストーリーラインを組み立てる
Whyの並び立て:
「空・雨・傘」構造
3章 仮説ドリブン②:
ストーリーを「絵コンテ」にする。大胆に思い切って描くことが大事。どんな分析結果が欲しいのか。
・軸を整理する
分析的な考え方:変化・構成・比較
・イメージを具体化する
・方法を明示する
4章 アウトプットドリブン:
実際の分析を進める
5章 メッセージドリブン:
伝えたいものをまとめる。
本質的・シンプルを実現する。ストーリーラインを磨き込む
- 論理構造を確認する
- 流れを磨く
- エレベーターテストに備える
チャートを磨き込む
- 1チャート・1メッセージの徹底
- タテとヨコの比較軸をみがく
- メッセージと分析表現を揃える
以上、自分のためのメモみたいなものなので、わかりづらいかと思いますが、まとめました。4章や5章もわかりやすい図表が具体的な例を添えて説明されていますので、見てみてください。
ビジネスマンや研究者以外の方も、様々な場面で使える考え方だと思いますので、是非読んでみてください。