カナダ在住研究者のつぶやき

バンクーバー在住の研究者が、個人的に関心の高いエネルギー・環境問題や、趣味のトレイル・食べ歩き・酒についてつぶやく予定

カナダと日本の研究室の違い

海外の大学の研究室ってどんなイメージがありますか?

 

国際色豊かなメンバーに囲まれた研究・・・

英語での自発的で活発な議論・・・

最先端の分析装置や技術者・・・

自由な研究環境・・・

 

色々なイメージがあるかと思いますが、

今日は、カナダの大学の研究室の様子について、

日本の研究室と比較しながら

紹介したいと思います。

 

もちろん研究分野や、PI(ボス)によって全然違うので、

あくまで私の所属するブリティッシュコロンビア大学(UBC)のラボや、

周りの友人のラボの話なので、予めご了承ください。

 

 

 

1.グローバルな環境

 

さすが「移民の国」カナダ、様々な国籍の人がいます。

 

私のラボは常時15人程で、短期間の研究者も含めたら

 

アメリカ、カナダ、スコットランド、フランス、スウェーデン、

オーストリア、ウガンダ、南アフリカ、ブラジル、チリ、ウルグアイ、

インド、イラン、フィリピン、中国、台湾、マレーシア・・・

 

などかなり多国籍で、実験やディスカッションの姿勢も人によって大違いです

 

ちなみに日本人は、DepartmentどころかFacultyでもほとんどいません。

他のFacultyの方に聞いても、日本人研究者は少ないらしく、

海外に出る日本人研究者が少ないことを、肌で感じます。

 

毎週グループミーティングを行っているのですが、 

欧米人やアフリカ人は積極的に意見を言うのに対し、

アジア人はやや消極的な傾向があります。

 

まぁボスが全員に積極的に意見を求める人なので、

消極的な人も、最終的には質問出来るようになっている気がします。

 

研究活動に関しては、アジア人の方がHard workerです。

(効率が良いとは限らないし、成果と必ずしも比例しないけど)

 

日本で所属していたラボも、

半分以上外国人の時期もありましたが、

グローバルな環境は比べ物になりませんね。

 

 

 

 2.研究・実験環境

 

研究を遂行する上での環境も、日本と大きく違います。

 

基本的に、一つのラボが所有している装置が少なく、

何の実験をするにしても、他のラボや研究機関の装置が必要です。

 

日本に居た時は、基本的に自分のラボの装置(+隣のラボ)で

大体の実験が済んでいたので、初めは驚きました。

 

一つの実験をするのに、複数のラボの人にコンタクトを取って、

多いときは一日に4か所ラボを回って実験することも(笑)

 

 

あと、コンタクトをとっても返事が遅い人が多い。

特に驚きなのが、装置や備品を購入する際、

日本だとすぐに見積りだしてもらって、手際もいいんですが、

カナダはまず業者の返信が遅い。

しかも遅くなった時は、大体言い訳付きで(Family issueとかHealth issue)

売る気がないのかな?って思います

 

 

あと、海外の研究室では、各装置の技術担当者がいて、

自分で装置を動かしたり、修理したりすることが少ない、

 

と聞いていたのですが、今のラボは全くそんなことありません(笑)

むしろUBCの周りのラボも大体ポスドクが自分で修理してます

 

ちょうど私が着任して半年くらいで、

ラボを仕切っていたResearch associateが他大学へ異動したため、

(引継ぎも全くせず!)

一時期絶望的な状況でした。

 

 

まぁまとめると、日本の方が研究環境は便利で快適、

でもカナダでも積極的に自発的に動けば、どんどん研究できるし、

ネットワークも広がりやすいですね。

 

 

 

3.自由な研究環境

 

グローバルな環境というのもあって、

自分が面倒を見ている学生以外とも、

積極的に意見交換をする機会が多いと思います。

 

ポスドクも多く、みんな業績を増やしたい気持ちは一緒で、

お互いの強みを活かしたコラボを目指して、

頻繁にディスカッション(というか雑談)をします。

 

上述のグループミーティング以外にも、

ポスドクと学生だけで論文を紹介しあう、”Journal club”

(これは面白い取り組みなので、後日紹介したいと思います)

毎週木曜朝に、Departmentの皆でTim Hortonsのドーナツとコーヒーを

食べながらざっくばらんに会話する”Coffee social”など、

意見交換する場が多く、

これは日本に居た時との大きな違いですね。

 

自分のボスや他のラボの教授とも

First nameで呼び合い、気軽にディスカッションできるのも

日本では考えられないですね。

 

 

 

今回は、カナダの研究室生活について、

日本に居た時と比較しながら、簡単にまとめました。

 

他にも院生の違い(例えば修論発表が二時間もある!)や

共同研究の機会など、面白い違いがあるので、いつか紹介したいと思います。